狸囃子


夕焼け小焼け晴れた空に
狸囃子が聴こえる

夕焼け小焼けお山のふもとで
ウワサ話が流れた
夜な夜な聴こえる童歌
つくも神かもののけか

笛や太鼓で輪を囲み
アオギリの葉集めたら
今始まる化け比べ
お山をかけて降りてくる

「負われよか 負われよか」
どこからか声がする
「おうたろか おうたろか」
男がそれに答える

雨上がり 負われ坂でそんな声聞こえたなら
答えちゃいかぬ
答えりゃ狸が株太に化けて乗りかかる

雨上がり 船場のお山の峠を越えた小道で
つばを広げた傘を被った一人の老婆に出会った

「重箱婆じゃ 重箱婆じゃ」
「ご馳走はいらんかえ?」
「坊や早くこっちへおいで ご馳走が冷めぬうちに」

赤い提灯袖の子供は重箱婆に連れられ
覗き込んだ傘の下には
目鼻口も無かった!

ある日旅の途中で男が不思議な音に誘われ
追ってお山の夜があけりゃ
帰り道はどこにある?

ひゅるり ひゅるり ひゅるりらら~♪

夜獅子の笛が聴こえる
雨上がり満月の夜は後ろの影に気を付けろ

遠い四ッの御国から
八百八の眷属を従え
今宵は誰を化かそうかと
白十字八変化


雨上がり 橙色の下
アオギリの葉を見つけた
夕焼け小焼け晴れた空に狸囃子が聴こえる